テニスコート

テニスコートを語るためには、まず世界におけるテニスの発祥とその歴史を知らねばなりません。現在普及しているテニスの原点とされるのは、8世紀ごろにフランスで誕生した「ラ・ソーユ(La Soule)」と呼ばれる球技と、その発展形である16世紀以降の球技「ジュ・ド・ポーム(Jeu de paume)」であると言われています。現代のテニス(正式にはローンテニス)と違い、昔のテニスは屋内球技で屋根にボールを放り投げ、屋根の傾斜で落ちてくるボールを手のひらでサーブするというものでした。「ジュ・ド・ポーム」の「ポーム」は「手のひら」という意味で、昔のテニスはラケットを用いず手でボールを打ち合っていたことに由来しています。ラケットが使用されるようになったのは16世紀からで、その頃はまだガット(弦)を張ったラケットを使用しては居なかったようです。ちなみに、初期のガットには動物の腸を使用していたことから「腸」を意味する「ガット」が使われるようになったといいます。現代の「ローンテニス」になったのはごく最近の1873年で、イギリスのウォルター・クロプトン・ウイングフィールド少佐が考案者であるといわれています。日本に伝来したのはその5年後の1878年で、硬式ボールの調達が難しかったことから、ゴム鞠をボールに使用した軟式テニス(現在はソフトテニス)が普及し、アジアを中心に広まっていったといわれています。

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テニスコートの説明

テニスコートの種類

テニスコートは、表面に用いられている様々な素材によって違った特性を持っています。硬式と軟式の違いが如実に現れるのもコートの違いの面白いところです。

クレーコート

表面に土を用いた、天候状況に左右されやすいコートです。赤土を使用したアンツーカや粉状にしたレンガを敷き詰めたレッドクレー、緑色の砂を使ったグリーンクレー、日本の粘土質の土に砂をまいたイエロークレーなどがあります。硬式では、球足が遅いという特性を持ち持久戦に強いプレイヤーにとっては有利なコートですが、軟式では逆に球足が速くなるため、強打によるスピーディなプレイヤーが有利になるという一面を持っています。

ハードコート

セメントやアスファルトで造成された後に化学樹脂でコーティングされたコートです。砂を均す必要のあるクレーコートよりも維持コストが低く出来るので、ハードコートを取り入れているコートも少なくありません。ハードコートはクレーコートに比べて球足が速い傾向にあり、ネット際のボレーを多用するプレイヤーにとって有利に働きます。軟式では摩擦力が強く働き弾みにくくなるので、カットを活かした戦法を得意とするプレイヤーの独壇場といえるでしょう。

砂入り人工芝コート

一言で言えば「雨に強いクレーコート」です。人工芝に砂をまくことで摩擦力を軽減していて、プレイ感覚はクレーコートに近いといわれています。人工芝なので、雨の後の芝の手入れの必要がなく、クレーコートのように水はけを行う必要がないことから日本やオーストラリアで広く普及しています。

グラスコート

芝を用いたコートで、有名なところではイギリスのウィンブルドンが採用しています。その特徴は球足の速さで、前掲のコートのどれよりも早いことで知られています。イレギュラーバウンドが起こりやすいため、ピート・サンプラスのようなサーブ・アンド・ボレー主体のプレイヤーに有利に働くことが知られています。しかし、ゴルフ場のグリーンのように芝はこまめに手入れしないと伸び放題になってしまうという欠点があります。このためグラスコートの割合は年々減少傾向にあります。

テニスコートのライン

テニスコート

テニスコートは横の「ベースライン」と、サーブを打つ目安となる「サービスライン」「センターサービスライン」、「センターサービスライン」の延長線上にある「センターマーク」、そして左右に種類の「サイドライン」で構成されています。サイドラインは、シングルスとダブルスによって使い分けられます。軟式テニスでは、ダブルスでの試合形式を基本にしていたので、シングルスラインはサーブの有効範囲(サービスエリア)の基準としてしか使用されていませんでしたが、1992年以降のルール改定で軟式テニスから「ソフトテニス」へ呼称が変更されると共にシングルスの導入が行われ、現在では硬式と同様にシングルスとダブルスの形式で行われています。


世界の有名なテニスコート

伝統のあるテニスコートには、そのコートの代名詞というべき大会があります。全豪オープン(1月)、全仏オープン(5月〜6月)、ウィンブルドン(6月〜7月)、全米オープン(8月〜9月)の四つを四大大会と呼び、この四つの大会を一年間で全てに優勝することを「グランドスラム」と呼びます。また、1988年のソウル五輪で金メダルを勝ち取ったドイツのシュテフィ・グラフの達成したグランドスラムは、5大会制覇というその前人未到の栄誉を湛えて「ゴールデン・スラム」と呼ばれています。

メルボルン・パーク

全豪オープンの開催地となるオーストラリアのメルボルンにあるテニスコートです。センターコートは生涯通して二度のグランドスラムを達成した不世出の名プレイヤーの名を冠した「ロッド・レーバー・アリーナ」、1番コートには「マーガレット・コート・アリーナ」と、オーストラリア出身のテニスプレイヤーの名前が付けられています。

ローラン・ギャロス・スタジアム

フランスの名パイロット、ローラン・ギャロスの名誉を讃えた名を持つテニスコートです。四大大会が開催されるテニスコートで唯一のクレーコートとしても知られており、グランドスラムを阻む最大の障害としても恐れられているコートでもあります。

オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ

ウィンブルドンが開催されることで知られる、120年以上の伝統と風格を持つイギリスのテニスコートです。このテニスコートはウィンブルドンのためにしか使用されないという特徴を持っています。ウィンブルドンは現在では珍しいグラスコートで行われるため、選手は白いウェアを着用することが義務付けられています。また、自由競争の結果参入してきた外国企業によって地元の企業が淘汰されてしまうという意味の経済用語の「ウィンブルドン現象」は、ウィンブルドンでイギリス出身の選手の優勝が世界の選手に押されて勝ちあがれなくなってしまったことに由来しています。

USTAナショナルテニスセンター

全米オープンの行われる、アメリカ・マンハッタンのテニスコートです。1996年までは「ルイ・アームストロング・スタジアム」で行われ現在は1997年からは「アーサー・アッシュ・スタジアム」で行われています。このアーサー・アッシュ・スタジアムは2万5千人以上の観客を収容できる世界最大のテニスコートとしても知られており、まさに世界最大のテニストーナメントである全米オープンにふさわしい場所として知られています。

有明コロシアム

日本が誇る、有明テニスの森公園内のテニスコートのセンターコートです。1989年まで存在した田園コロシアムの老朽化に伴い、オープンしました。全日本テニス選手権やジャパン・オープン・テニス・トーナメント(現AIGオープン)などの、日本の主なテニストーナメントの開催地であり、日本のテニスの聖地として知られています。

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